アメリカ旅行を計画している。手配はすべて友人がすませてくれた。航空券も日程表も手元にあるのに、わたしはいちども目をとおしていない。出発日くらいしか把握していない。旅行の準備もまるでやる気がおきず、かばんの中に着替えのパーカー(犬の絵柄)をひとつだけつめる。

当て推量の時間に 母に空港までおくってもらうが、到着してからパスポートも航空券も かえの下着も財布も なにもかも持っていないと気がつく。日程表を見直すと、出発の時刻はいまから半日くらい先の夜中で、1泊だと思い込んでいたのが実際は4泊だったことを知る。いちど家にかえることにする。

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川沿いの道はとても混雑していて、父母は花見によさそうな場所をさがしながら ゆっくり運転した。家に到着しても、やはり旅行の準備をする気がまるでおきない。出発時間から逆算することができない。きがえの服を選ぶことも困難で、箪笥の洋服をてあたりしだいにつめこむ。

搭乗口までエスカレータで地下ふかく進む。踊り場はすべてこども用品の売場になっている。ディズニーキャラクタのリュックサックが天井まで並んでいる。けれど夜中だからかレジはすべて網で覆われている。とおりがかりの家族連れの、父親をなにかの拍子に激怒させてしまう。ねじりはちまきをした彼においかけられ、怯え逃げる。

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