友人の結婚式。わたしはエレキギターを使う予定があるのに、天気予報が大雨 / ギターの整備をしていないという理由で、あえて用意せずに家をでる。祝儀用のピン札も持ちあわせが無く、両替したそばから手癖でおりたたんでしまう。携帯電話に友人から着信があるが、遅刻の負目からでることができない。

誰か(銭形刑事をふとらせたような存在感の人物)においかけられ、アパートのらせん階段を上へ上へ にげる。なわばしごを昇り、しまいには すべり台で一気に披露宴会場へ向かう。

友人たちがたむろしている。わたしに怒りの目が向けられる。さきほどの電話の件のようだ。結婚式がはじまる前に、わたしは同級生と【神社にあつまりおそろいの鈴をつくる】という約束をしていたらしい。後日あらためて、自腹でつくることにする。会場ではステージで 誰かが「Smells like teen spirit」を演奏している。

向かいの家は改築の途中である。硝子ばりのダイニング照明は、自動センサーでついたり / きえたりしている。そのダイニングには家具などなにも無く、地下室と 奥の部屋への扉だけがみえる。正門からは飛び石が敷いてあり、わたしは母と 友人の母に「こういうつくりは広々としていて好きだ。わたしはレゴで家をつくるとき、だいたいああいう間取りにしている」と話す。

地下鉄の中で、治療した歯の詰物がとれる。血の味がする。移動先の二次会会場にはだれもいない。とりあえずご祝儀袋を用意する。袋のうらがわにはアンケートがついていて、結構こまかくかきこむ箇所がある。筆ペンがまるで上手に使えず、手が墨だらけだ。大切な友人の結婚式だし、おもいでとかメッセージとか いいことをきちんと書きたい。なぜ前から準備しておかなかったんだろう。