茶店のすみに棚があって、visual系bandの雑誌やグッズが中古品で売られている。ダンボール箱のなかにシルクスクリーンの版とインクのセットが入っていて、よく見ると大好きなband manの刺青絵柄が施された版だった。過去に発売された雑誌の付録らしい。手に取ってみていると、喫茶店の客が「わあ、それわたしも欲しい」と近付いてくる。とても可愛らしい、若い女性。箱のなかにはシルクスクリーン版は丁度2つあるけれど、インクは1組しか無かった。女性がよそ見をしている間にインクセットを買ってしまおうとしたが、そばで見ていた恋人に「きちんと話し合ってどちらが買うか決めたら」と諌められる。女性は若く無邪気で、自分がインクセットを手に入れられるということを疑わない真っ直ぐな目をしてる。結果的には話し合うまでも無く、当然のように彼女にセットを譲ることとなった。

わたしを諌めた恋人の声色や、「ありがとう」の概念すら無い女性の表情に、漠然と悲しくなってしまい、蹲って泣いた。

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恋人と大通りを歩いていると、街路樹ごしに、スプレー缶が中身を撒き散らしながら飛んできた。そのようすはとても意味深に、スローモーションで見えた。「テロリストが投げた缶だ、爆発する!」と恋人と顔を見合わせて、一目散に走りだす... と同時に後方で、おおきな爆発がおきた。

恋人といつのまにか離れ離れになってしまう。わたしは港に到着して、湾岸に停車された飛行機のなかへ避難する。飛行機のなかには誰も乗っていない。(ここからわたしの主観視点ではなく、客観的にミニチュアを眺めるような視点に切り替わる)わたしが乗り込んだのは廃飛行機で、そのまま海のなかへゆっくりと沈んでゆく。水圧で扉をあけることもできず、窓からはパニック状態のわたしが見える。